双ラーンサウで崩すときの相手の2通りの反応と対処法
双ラーンサウで挟んで下方向に崩す方法
相手の腕の肘の角度が広い場合
両腕をラーンサウにして、相手の前腕を挟み下方向に崩す方法があるのですが、 なかなか強力な崩し技だけに相手も強い対抗心を持って対抗してきます。 対抗するひとつの方法としては肘の角度を鈍角にする方法があり、 肘の角度が広ければ伸筋である上腕三頭筋が短く強く収縮することになりますので、 腕を一本の棒のように固くすることができ、崩しにくくなります。
このような場合は、無理にラーンサウによる崩しを狙わずに、肘が伸展しようと筋収縮をしているので、 広くなった肘の隙間から拂手(ファークサウ)を抜いていれるほうが楽といえます。 もちろん、上半身の微細なコントロールでもって腕の力を使うことなく双ラーンサウで相手を崩すことも可能ですが、 上級レベルの詠春拳の身体技法が必要となります。

相手の肘の角度が狭くて固い場合
肘の角度が広い場合や、肘が伸展する方向に動く場合、すき間から拂手を入れられやすくなります。 これを警戒して、今度は肘を折りたたむように肘の角度を鋭角にすると、双ラーンサウはかかりやすくなります。 もしこれでも強い抵抗がある場合は、上の?手の方向をやや上気味にして、上から下に弧を描くようにすると相手は耐えることができなくなり、 力が膝に来ますので崩れることになります。相手が拂手を警戒して腕を畳む方向に反応を示してくれるよう持っていくのがコツといえます。
掴む方にもコツがいるという話
詠春拳においては、相手の腕を手の平で掴むとき、「ギュッ」と握力を使って握りこむよりも、 お寿司を握るかのようにふわっと握る方が効果的です。自分の手の平と相手の腕の間には、少し隙間があり、 この隙間が遊びとして働き、動きに対してフィット感を生むようになります。
掴まれた相手の反応としては、掴む手を振りほどこうと、力をかけたり、角度を変えてみたりとこね回す反応が多いです。 そのとき、腕力や握力でガッチリ握り込むと力勝負になり、多くの場合、梃子の原理で掴む方が負けになります。 相手の複雑な動きに的確なフィットをさせるためにも、ふわっとした握りを心がけるとよいでしょう。

小念頭のガムサウ
小念頭のガムサウは詠春拳の技法の中でも珍しい方だと思いますが、意外と力を出すのは難しいです。 よくある間違いとして、下方向に力を出そうとして、下から突き上げようとする接点に自分の体重を浴びせてしまうことです。 このとき、地面との接点を固定点として相手にもたれかかることになるので、相手は簡単に自分の身体を起こせてしまいます。
ガムサウをやるときも自分の体軸に重さを置いて、体軸の重さが腕を伝わって手の平に落ちるようにコントロールしないといけません。 文章で書くのは簡単ですが、重心のコントロールは相手も動き対抗してくるので簡単ではありません。