こがねい詠春拳術会

アームロックを逆に崩す

二等辺三角形の辺のラインと頂点への集中

詠春拳の正中線の閉じ方という点に関してコツのようなものを若い練習生に伝えました。 実は、結構、秘伝に近いのではと思うようなコツなのですが、その重要性を感じ取ってくれたでしょうか。 正中線を閉じるときの力の集中点のことです。 二等辺三角形の辺が腕で、力の集中点が頂点なのですが、力そのものは前に向けないといけません。 あくまでも頭の中のイメージとして、二等辺三角形の頂点から底辺に下ろしてた垂線(要は正中線に当たる)に意識を集中させるということです。 腕相撲をするような内側に向かう力では正中線を閉じたことにならないということですね。

肘を重くすれば二頭筋をあまり使わなくなる

二頭筋をどうしても使ってしまうという悩みを聞きましたので、肘を重くとることをアドバイスしました。 肘を重くとれば腕・肩全体が下がります。この状態を保ちながら腕を前に出せば、二頭筋でアームカールをするような力にはなりません。 肘は伸展します。肘がふわっと浮いてくると、肩の前面や二頭筋に力が入ってしまうのです。 ただ、これは心理面も大きく、下で交差したとき、相手が打ってきますからリラックスして受けの心構えができないという理由もあるでしょう。 相手の攻撃に対してカウンターを狙いたいという緊張が肘の浮きにつながるようです。 難しいですが相手がそこそこの強打をしてきても、リラックスした心と身体で合わせられるようにしないといけません。 そのためには何度も打たれることが大切だといえるでしょう。

手を止めて足だけで動く

脚を動かすために手の余計な動きをできるだけセーブするという課題を持って取り組んでいる詠春拳の練習生。 見ていると、前後左右には動けているのですが、角度が甘過ぎました。 左右に三角歩を多用するように指示を出しました。 横に移動すると同時に角度を取り、さらに相手に側面からの何かしらの影響を与えないと、相手はついてきてしまいます。 角度を取られれば、相手は嫌な感じになります。弱い力で侵入をすることも可能で、そういう気味の悪い力に対して過敏に反応が起こるものです。 回転と移動を同時に行わないといけないので、単式でどれくらい練ってあるかが問われます。

ゆっくり黐手で詰め将棋

私との組手稽古が詰め将棋のようだと感想をいう詠春拳の練習生がおりました。 確かに、極力強引な力を使わずに、理論的に楽な侵入経路と角度をいち早く効率よく取ることは、身体を使った動きなのですが、頭脳ワークというほうが的確なのかもしれません。 相手の攻撃や防御反応に一手一手返していく。 それは将棋や囲碁をやっているように、相手の打たれたくないところに石や駒を置いていくという感覚です。 強引さを一切使うことなく、相手を詰めていくという知的なスポーツの側面もあります。 知的ゲームを楽しめるというのも、詠春拳や中国武術などの伝統武術の魅力だと思いました。

アームロックを逆に崩す

組手の練習中、アームロックをかけている詠春拳の練習生がおりました。 ほぼ極まる一歩手前くらいの段階で、力を送り返してやると、かけたほうが膝から崩れるようになるのですが、練習生同士が掛け合うと普通に極まってしまうようです。 まだ詠春拳の身体操法ができないからしょうがないのですが、こういう機会に私がどのようにして相手の膝まで力を送り込んでいるか観察してほしいです。 膝を狙って力を送り込んでいるわけではないのですが、仙骨を制御できれば自然と膝にきます。 関節技はある意味、試験的な意味もあり、身体のコントロールのレベルをテストするにはよい題材だと思います。

上の伏手を下に押さえこまないコツ

盤手のときに、上の伏手を下に押さえこむ癖のある詠春拳の練習生へのアドバイス。 上の伏手にするときに手刀を押し出すように小指側の手首を前に押し出すことを提案しました。 手首が折れて指先が下に向かうと、どうしても下方向に押さえつけたくなります。 指先とは方向指示器のようなもので、意外と意識を持ってかれますので、指先の方向を工夫するというのが指導上意識していることです。 特に初学者においては、指先、手先までの意識がなく、コントロールもできないので、単純な方向を与えてやり、まずはその方向に力が向かうよう意識してもらいます。 手の形がどうあれ、腕全体の仕事と力の方向は安定させないといけないのですが、最初のうちは、人の癖を見ながら、ひとりひとりに合った手の形を指示するようにしております。

脚だけで1、2、3、4と影響を与え続ける

脚を意識して練習しているがうまくいかない理由をひとつ見つけました。 ひとつの目的・目標に向かって脚を動かしていくのですが、それが失敗に終わったり、回避をされたときに、意識が途切れてしまうということが原因のひとつです。 1をやったらうまくいかなかったら、2、3へと繋がらないといけないのですが、意識も動きもリセットされております。 流れが途切れれば相手も体制を立て直す余裕ができますので、崩すのが容易ではなくなります。 意識も動きも流れをとぎらせないように持続的に動かねばなりません。