こがねい詠春拳術会

形を作ろうとする意識で無駄な緊張が生まれる

肩を引っ込める形を作って不自然な緊張

どうしても肩が前に出てしまう、肩が疲れるという練習生。 肩の状態について気にすることはよいことです。 それで肩を前に出さないように、1週間、詠春拳の型や基本稽古などを意識してやってきたといっていたので早速手を合わせてみたが、 肩を前に出さないように意識するあまり、不自然な緊張が肩に生じておりました。 これは何かを矯正しようとすると別の弊害が出てくるというあるあるで、技術系の練習をしていくと必ずぶつかるものだと思います。 自分が思い描く形を作ろうとするが、もともとあった緊張を残した状態で、強引に形状を変えようとするから起こるのだと思います。 一旦、振り出しのようなゼロのような感覚に戻してから再構築する方が早いかもしれません。 腕と肩に関して振り出しとは、腕をだらんと肩からぶら下げた状態で、その腕を前後に振り、 力が抜けた状態で腕を構えるようにすると自然な腕ができるでしょう。 ただし、それを定着させるためには今までやってきた倍以上の時間がかかるかもしれないので、最初に身につける感覚は本当に大切だといえます。

手前で処理しようとするも転身できない。力がぶつかる。

自分の軸に近い位置に接点を置き処理しようと頑張っている詠春拳の練習生へのアドバイス。 自分の軸に近く、いい位置を取っていたのに、いけると思って腕から先行していってしまうのが失敗の原因だとみました。 相手を自分の懐深くまで迎え入れることができて、角度も取れたら人は「やった」と思うかもしれません。 チャンスだと思って、そこで一気に腕力に切り替えると、相手もまずいと思ってすぐに切り返してきますからぶつかります。 角度とポジションを取ってからもひたすら足から先行させることが大切だということです。

肘を重くして前後

長くやっている詠春拳の練習生が下段の上の交叉で攻めあぐねているので、もっと肘を重くとって前後を使うように言いました。 攻撃側は下の交叉のほうが手数が多いし、やりやすいのですが、上の交叉においても積極的に前後の揺さぶりを使って攻撃をしていかないと行けません。 角度の効果があまり出ないので、ある意味、足を使う労力は下で交差するときよりも負担が大きいと思います。 身体全体を使い、腕がふわふわ浮くことなく相手に接触できていれば、何かしらの影響がでるはずです。 しかし、多くの詠春拳の初学者は上の交叉は守り一辺倒になってしまったり、 ちょこんと腕をくっつけておくだけの交叉に終始してしまう傾向があり、上の揺さぶりの難しさがあるともいえます。

デンザンを下げるが届かない → 肘を折るから

前日に引き続き、デンザンの問題。ひとりの練習生の悪い癖は肘を折り畳んでしまうこと。 これは随分前から指摘しているので、本人もやってしまうことはわかっているですが、どうしても直らない。 肘を折ると相手の上の伏手に影響が小さくなり、あまり崩れないので相手が突っ立ってしまう。 引き込むような崩れ方をしない。 なので、距離が空いてしまうのですね。 肘を相手の上伏手に引っ掛けようとする心理があると本人も自分で分析できており、その通りなのですが、 なかなか実際の黐手(詠春拳の自由組手)の中で使うのは難しいようです。 まずは、盤手のパターン稽古の中で正しい動作を定着させてほしいと思います。

小念頭の伏手を重く

練習量が少ない詠春拳の練習生は正中線が甘いですね。 こればかりは組手の経験年数、時間がものをいいますので、とにかく努力が必要です。 中心を突破されないように、三角取りをもっとやることでしょう。 正中線が簡単に突破されるとか、真下に相手の腕を押し下げてしまうなんてことを前提に戦闘理論は組み立てられません。 英会話においても、英文法無視して、とりあえず単語だけ並べれば通じるかといえば、通じる場合もあれかもしれませんが、聞き手は解釈にストレスを感じます。 英語でいうところの語順や基本単語の使い方など、やはり基本という大前提となる条件は押さえてもらう必要があります。 詠春拳も同じで、基本を練ることにどれだけ時間をかけられるかがその後の進歩に大きく影響すると思います。

盤手の上の伏手も重く

詠春拳の双推手「盤手」のパターン稽古のひとつに内拍手があります。 この内拍手に反応し、窒手に変化させるのは難易度が高いとは思います。 それができる前提として、下の伏手と同じように、上の伏手の正中線への集中力です。 決して胸の筋肉や肩の筋肉を緊張させて固めるものではありません。 固めれば剛体となるだけですので、接点を力点に回されて終わりです。 柔らかい筋肉の状態を保ちながら、正中線を閉じられるよう骨格の構造を微調整する必要があります。 詠春拳は筋力よりも頭脳ワークが大切ということです。

関節技をかける

立ち技関節は当会は特に重視しております。 腕を差し出して、自由にかけていいよという時間を設けるときもあります。 しかし、思っていたようにかからないのが現実です。 一見、かかっているように見えても力が滞っており極められてないことも多く、逆にそれを利用されて返し技に会うこともあります。 詠春拳の身体操作ができないと関節技の形を作ってもうまくいかない例でもあり、ある意味、試験的な意味もあるといえます。 つまり、立ち技関節で相手に影響を与えれるようになれば、詠春拳における身体操法のレベルが上がったと確認できるわけです。