こがねい詠春拳術会

対角交叉の腕の橋を落とす

◆ 対角交叉の腕の橋を落とす

一番最後にやった対角線上に腕の橋がかかったとき、その腕の橋を使って相手全体を崩すというシーンが印象的でした。 形としては、Aの右手をBの右肩に乗せる。Aは右腕を頑強に張り、BはAの右腕の上に自分の左腕を上からかぶせます。 このときBの前腕がAの右腕の上腕か肘より上の辺りに接触させます。

BはAの対角線上にかかった右腕と肩の接点の2点を使ってAの身体全体を崩しにいくのですが、Aが右腕を頑強に張った場合、なかなか崩れません。 詠春拳においては、これは行手(ハーンサウ)の使いようといえます。 失敗例としては、Aの上腕をBが強く押し付けすぎて、Aが痛がって腕を離してしまうというパターン。 Aの右腕の上腕二頭筋にBの前腕が強く押し当たることからAが痛みを感じるということです。 これはAが上腕を内旋させ、肘を外に向けるようにすると、Bの前腕が上腕二頭筋に当たらないのでAは痛くなくなり耐えられるようになります。 また、肘が外を向いたときの方が、Aはより頑強に腕を張れるのでBは崩しにくくなります。 つまり、BはAに対し腕力でもって強く腕を押して付けることでは上手くいかないのです。

難しい感覚なのですが、Bの仙骨から生まれた力を脊柱を通して相手に伝われば、相手は膝から崩れます。 腕は力の通る橋のようなもので、身体全体の使い方がこの技を成功させる秘訣といえるでしょう。 しかしながら、口で言うのは簡単なのですが、実際にやってみると難しいものですので、何度も失敗をしながら学ぶしかないです。

腕と仙骨の関係

これは私自身の気づきのメモなのですが、腕から先行する動きは基本的に察知されやすく、相手にシャットアウトされてしまうことがほとんどです。 よほど相手の反応が悪くない限り防がれてしまうのはこの腕が先行する動き。 それが仙骨を中心とした腰回りからの動きに腕が同調するような動きですと相手が反応しても、その反応を使って崩せる形に持っていけるということを感じました。

仙骨が動くということは、脊柱軸が動くということ。 これは脚が動いており、明らかに脊柱軸が停止した状態で腕だけで押し込もうとする動きとは異なります。 受ける側からしても、相手の身体全体が腕の隙間から水が流れ込むように入ってくるのは対応の難易度が上がることになります。 詠春拳の身体操法で大切なのは仙骨の意識と脊柱軸の運用といえるでしょう。