こがねい詠春拳術会

三角形を信頼できるか 忍者扉のようなスムーズな回転を

今日は、中学生や高校生が帰省していることもあって人数が少ない稽古会でした。夏の暑さは相変わらずですが、直射日光の当たらない木陰で練習するので、 熱中症になるような辛さはありません。熱中症には十分に注意して、水分補給と休養を十分にとり練習しております。

最初にステップワーク鍛えるための片腕の自由組手(当会では三角取り)を行いました。この練習は本当によい練習で、 接点が一か所しかないのに相手を崩さないといけません。東京五輪が始まり、日本の柔道の選手が大活躍されておりますが、 詠春拳は分厚い衣類もまといませんし、夏の薄着の状態ですので、柔道のように衣類を利用しての崩しができません。

接触点だけを通して、相手の身体の状態を探り、どこが強くてどこが弱いのかを瞬時に感じ取る訓練をします。 同じような動作をしていても結果が大きく違うのは、体内感覚の違いと角度や力の方向など、様々な条件が違うからです。

今、練習生の間では、下段のインサイドからの相手の正中線の突破が流行っているようで、執拗にそこを攻め立てる練習が続いております。 受け手のほうも完全な初心者なら別ですが、ある程度、練習を積んでいくと免疫を獲得してきますので、 簡単に突破できなくなります。そこを何とか突破したいという気持ちがあるので、そこにこだわるのだと思います

私としては、ひとつの突破口にこだわることなく、いろいろな角度から切り込む転換も大切と考えつつも、練習生のこだわり、 執着もこれもひとつの経験と練習であると思い、あまり制限をかけないようにしております。

最初は力を使って強引でもいいと思います。しかし、だんだんそれが通用しなくなることも経験で知ってもらいたいからです。 腕力が通用しなくなってから、どう突破するのかは、練習と経験がものをいうので、ひたすら頭を使った練習が続きますが、 適切な感覚を得て、できるようになれば、楽になれます。引き続き頑張ってもらいたいです。

忍者扉 = 三角形を信頼できるか

忍者扉のように身体を転身させることをいかにスムーズに行うかが大切です。 詠春拳では、自分の身体の前にできる三角形を意識しますが、胸の前の面は、三角形の底辺です。 私の武術の先輩がよくおっしゃっていた「三角形を信頼できるか」は、底辺をどれだけ信頼し、 角度をとれるかだと思っております。三角形が信頼できないと、角度を十分にとることなく、 腕の力で相手の力を逸らそうとします。しかし、その力は利用されてしまう力であり、 上級者に対しては墓穴を掘ることになります。底辺を忍者扉のように、くるりと回転させ、 力をうまいこと逃がしてやることを、片腕の単純な稽古を通して学んでもらいたいです。